モンテグラッパ アフロディーテ (MONTEGRAPPA APHRODITE)

モンテグラッパは、1912年にイタリアで創業した筆記具メーカーである。
愛用者には、故アーネスト・ヘミングウェイ、シルベスター・スタローン、ジョルジョ・アルマーニ等の著名人が名を連ねている。
銀細工やエナメル等の装飾が施された筆記具が多く、その装飾の豪華さから「ライティング・ジュエル」と呼ばれている。



写真は、モンテグラッパが1997年に発売した「アフロディーテ」である。
モンテグラッパの創業年に因み、限定数は1,912本である。
アフロディーテとは、ギリシャ神話に登場する美の女神のことであり、ローマ神話ではヴィーナスに相当する。
イタリアの著名な彫刻家フェデリコ・モンディがデザインしたアフロディーテとその恋人アドニス、その他の様々な装飾がキャップや胴軸に施されている。
また、アフロディーテが天上界から貝に乗って地上界の岸辺に運ばれてきたという神話から、マザー・オブ・パールで作られた大小のパネルがスターリングシルバー製の装飾に嵌め込まれている。
これらの意匠は、ボッティチェリの名画「ヴィーナスの誕生」をモチーフにしている。
手持ちの万年筆の中では最も高額であり、最もゴージャスなペンである。
モンテグラッパの中で、アフロディーテと人気を二分するドラゴンのどちらを購入するか非常に迷ったが、いずれ娘が受け継ぐことになるであろうことから、アフロディーテを選択した。


正面

右側面

裏側

左側面

クリップには真珠が嵌め込まれている。

右側面(キャップ)

左側面(キャップ)

アフロディーテ(足元の貝の装飾には真珠が嵌め込まれている。)

アフロディーテの恋人アドニス

キャップを外した状態

ペン先には女王蜂の刻印

キャップトップにもマザー・オブ・パールが嵌め込まれている。

ケース及び付属品(画像は購入先のHPから拝借)

(参考)ボッティチェリ作「ヴィーナスの誕生」

このアフロディーテは、世界的な万年筆コレクターである すなみまさみち氏が、その著書「101本の万年筆」の中で紹介していますので、私の拙い説明よりもそちらを参考にされたほうがよいでしょう。
以下は、その全文です。

モンテグラッパ アフロディーテ 1997年 イタリア

精密鋳造法で仕上げた、ゴージャスなペン

2001年、カルティエなどのリシュモングループ傘下に入ったモンテグラッパだが、その創業は1912年に遡る。
ジャンフランコ・アクイラと、彼の3人の息子レオポルド、シロ、ジュゼッペがグラッパの産地として知られるバッサーノ・デル・グラッパ(ヴェネト州)に工房を構え、ファミリービジネスとして万年筆の製造に着手した。
1997年に発表された「アフロディーテ」は、ギリシャ神話に登場する美と愛の女神、ヴィーナスをモチーフにしている。
このモデルは、95年に登場した「ドラゴン」、翌年の「ルクソール」に続くシリーズのひとつに数えられる。
従来、シンプルな意匠を重んじてきたモンテグラッパだったが、このシリーズでは一転して装飾的な意匠をまとったモデルを発表。
基本コンセプトは「家宝としてのペン。モンテグラッパは、アートなり」であった。
ミラノ在住の彫刻家、フェデリコ・モンディが手彫りで仕上げたモデルを、ロスト・ワックス・プロセス(精密鋳造法の一種)でまず真ちゅうベースにおこして原型を作る。
ローズゴールドやスターリングシルバーで作られたキャップと胴軸に、タヒチ産の白蝶貝を加工した長いパネル4枚と12枚の短いパネルをはめ込む。
これらをエボナイト・ベースの胴軸とキャップに差し込み、磨き上げれば完成する。
18金ペン先には、ハニカム模様と女王蜂が刻印されている。
アフロディーテは、よく女王蜂に例えられることから、このデザインが考案されたという。
このモデルは、真珠貝の形をした豪華なケースに収納され、さながらボッティチェリの名画「ヴィーナスの誕生」を彷彿させるヴィーナス像の再来となった。

(参考)モンテグラッパ社のアフロディーテに関するHP
http://www2.montegrappa.com/product.php?id=29


101本の万年筆 (Pen BOOKS)

  • 作者: すなみ まさみち
  • 出版社/メーカー: 阪急コミュニケーションズ
  • 発売日: 2006/05/30
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)